TIMとお湯の話
最近、エレクトロニクス成分が少なかったのでエレクトロニクス系の記事を書いてみようと思います。睡眠導入の記事として非常に良い出来になったかと思います。
その前に、、、今週は断酒期間なのですが、お酒の代わりにお湯を飲んでます。
お湯っておいしいですよね。味は無いはずなのに満足感がすごいです。
よく「中国人は冷たいものを飲まない」というのですが、理由はお腹が冷えるからだそうです。
なのでビールを頼むときも冷たいビールを頼まないとぬるいビールが出てくるらしいです。それはツライ。
10~20歳台前半までは気にならなかったのですが、それ以降冷水を飲むと胃もたれが加速するということに気が付き始めました。
近々に冷たい水を喉に流し込むというのは快感以外のものではないのですが、翌日以降後悔するケースが多く、涙を飲んでお湯を飲んでます。
そしてお湯を飲み始めてわかる魔法瓶の凄さ。断熱性能半端ないです。
在宅勤務中などお湯を飲み続けてるのですが、お湯がずっーとお湯ってすごいですね。
お湯をお湯のままで居てもらうには、熱を逃がさないのがポイントのようです。
熱を逃がす媒体になる空気を抜いて容器を真空にしているから断熱が実現しているようです。
と、イイ感じの導入になったところで熱伝導のお話です。
熱というのは電気を使おうとすると逃げ切れない課題です。
電気を流す→すべての物質には抵抗がある→電気エネルギーの一部が熱として放出され損失となる
というのが一連の流れです。
よく熱を逃がす必要があると言われる部品は半導体やバッテリーです。
半導体はざっくり言うと電気流すことでデータを蓄えたり、こんな処理をしなさいとい命令をしたり、はたまた電気の流れや向きを変えたりする今やなくてはならない部品です。※ここは話し出すと長くなるので割愛
その半導体も熱が掛かりすぎると動きが遅くなったり、最悪の場合周りの部品を溶かしたりする恐れがあるので熱を逃がす必要があります。
バッテリーも、スマホを長時間充電すると熱を持つように発熱する部品で、熱を持つと効率よく電池から電池を取り出すことが出来なくなります。
そこで出てくるのがTIMと呼ばれる材料です。
TIM:thermal interface materialという意味で熱伝導材料です。
その意味の通り、発熱する部品から熱を逃がすことが出来る部品へ熱を伝えることが出来る材料です。
よく使われるのが、パソコンのCPUとヒートシンクの間に挟まれているようなものです。
TIMにも種類が合って、液体タイプ、半固形タイプ、シートタイプと形状のラインナップと導電性(電気を通す)、絶縁性(電気を通さない)というように分かれており、さらに熱伝導率(W/m·K)などの仕様の種類で別れてます。
それぞれの特徴というと、、、
○形状
液体タイプ:液体なので汎用性が高い。量の調整や形状に合わせた塗布が可能。液体なので対象物との密着性が良く空気を咬まないので熱伝導効率が良い。価格も安め。デメリットはポンプアウトという液体が漏れ出す対策をしないとならない
半固形タイプ:フェーズチェンジとも呼ばれる。とろけるチーズのイメージ。シートの状態で実装して熱を掛けることで密着性が向上する。取り回しが良い。ポンプアウトに強いがコストは高め。
シートタイプ:熱を掛けても溶けないシート形状。空気を咬むと熱伝導性が落ちるのでぎっちぎちに押しつぶす形で使う。取り回しも良く、値段も安め。
○絶縁/導電
導電性(電気を通す):導電性のほうが熱伝導率が高い傾向がある。導電フィラーを入れるケースが多い。製品によっては30W/m·K以上のものも出てきている
絶縁性(電気を通さない):ゴムのようなイメージ。最大でも10W/m·K以下の熱伝導率のイメージ
○熱伝導率(W/m·K)などの仕様
サーマルインピーダンス(熱抵抗):値が小さいほど放熱性能が良いです。極端なことを言うとTIMを薄くすると熱抵抗も下がるので、結果の値とも言えます。
熱伝導率:材料自体の熱の伝達性能です。ここでややこしいのが、熱伝導率の測定方法には2種類「定常法」「非定常法」があって、その測定方法によって値が変化するということです。熱伝導率がすごい良くても別な測定法ではそこまでよくない、、、というケースが多々あります。
そういったスペックなどを見たあと、実際に製品を触ってみて熱伝導性を計ってみたり、信頼性(ポンプアウトしにくいか?劣化しないか?など)を測定して、実際に生産現場で効率の良い塗布が出来るかなどを検討しながら部材選定していきます。
そんな手間暇をかけて熱を逃がしているのです。
そして、その熱を伝導した先にはヒートシンクや水冷の装置やヒートパイプなど、、、熱を空気中に逃がすにしても様々な部材があり、、、、書こうと思うと私が寝れなくなってしまうのでこの辺でやめておきます。